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ロックの部屋

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THE PENTANGLE

【ペンタングル】



1969年代後半から1970年代前半にかけて活躍した、イギリスのトラディショナル・フォーク・バンドのアルバムが最近リマスター化されて紙ジャケット盤で再発されました。

昔から気にはなっていたバンドで数曲は聴いたことがありましたが、今回初めてアルバムを手に入れました。ペンタングルのギターリストであるバート・ヤンシュはブリティッシュ・フォークの神様として多くのロックのミュージシャンにも影響を与えています。

そのサウンドはフォークにとらわれず、ジャズやブルースも取り混ぜた幅広い音楽性に満ちたものでした。

トラッドと言うのは、トラディショナル・ミュージックの略で、イギリスで昔から歌い継がれてきた民衆の歌曲とでもいったらいいのでしようか。

イギリスという国は、クラシック音楽が根付かず、著名なクラシック音楽家がイギリスから誕生したという例は少ないようですが、変わりに大衆に愛されたトラッドがありました。

歌い継がれてきたというくらいですから、作者不明であったり、途中でその時代のアレンジで演奏されたりしてきたという事があるようです。

使用している楽器は、2本のアコースティック・ギターが中心、フィンガー・ピッキングの生々しい音がみずみずしいです。ジャズぽいウッドベースの絡みに女性ヴォーカルのジャッキー・マクシーの声が美しい。全ての音が繊細でジャズ的な即興性もありながら計算されつくしたアンサンブル。

自作自演の曲がほとんどのようですが、トラッドナンバーも数曲あり。1曲目の『Let No Man Steal Your Thyme』がトラッドのクレジットあり。

《Let No Man Steal Your Thyme》
♪若さをおう歌する
 美しい娘たち
 気を付けて 純潔を失わないで
 あなたの庭に咲く花を奪われないように
 純潔な心を奪われないように

 若さを失えば
 男たちはあなたに興味を失う
 荒らされた庭には
 もう何も残らない
 そこにあるのは悲しみと後悔

女という緑の樹木
男はまとわりつき
 その枝から
 欲しいものだけを奪っていく♪


ふむ、こういう歌を若い娘達に諭すように歌って聞かせたのでしょうか。こういった叙情的なものもあれば、労働歌、宗教歌などもトラッドにはあるようです。

リマスター化されて、現代に甦ったペンタングルのトラディショナル・フォーク・サウンドは鮮明で繊細で力強くて優しい。

けたたましい音圧とノイジーなギター音、エレクトロニカに悪戦苦闘している現代の大半のロックバンドがいかに無駄なエネルギーを使っているものだと思い知らされます。

凄く気に入ったペンタングル、このアルバムはファーストでしたが、2作目以降もぜひとも揃えたいです。(笑)

                          (2004-08-16記)


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